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3-D view of withdrawal unit with SRD segments for hard reduction

ロンドン2019年10月 07日

中国の中天鋼鉄向けビレット鋳造機近代化工事を受注

  • 世界で初めてビレット鋳造機に SRD(シングルロール DynaGap)セグメントを導入
  • SRD セグメントにより最終凝固点を正確に把握可能
  • SRD セグメントによりソフトおよびハードリダクションを導入
  • ロールの個別制御により鋳片の最適化を実現
  • 技術パッケージにより内部ビレット品質をさらに強化

 

プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は、中国の鉄鋼メーカーである中天鋼鉄 (Zenith Steel Group Co., Ltd.)より、常州にある同社第 3 製鋼所の 10 ストランド(条)ビレット鋳造 機の近代化工事を受注しました。これは、世界で初めて新しい SRD(シングルロール DynaGap)セグ メントを導入するビレット鋳造機になります。SRD セグメントは最終凝固部分での使用に向け特別に開 発されたもので、上段の圧下ロールそれぞれが別々に凝固中の鋳片を圧下できるようになり、最終凝固 点の正確な把握が可能になります。また、オンライン熱力学相変換モデル「ダイナフェーズ (DynaPhase)」、二次冷却モデル「ダイナックス 3D (Dynacs 3D)」、軽圧下システム「ダイナギヤ ップソフトソフトリダクション 3D(DynaGap SoftReduction 3D)」などの技術パッケージの導入によ り、中心偏析及び微小空孔が低減し内部ビレット品質がさらに向上します。近代化した鋳造機は、2020 年 3 月に稼働開始予定です。

 

中国江蘇省・常州にある第 3 製鋼工場の 10 ストランド(条)ビレット鋳造機の年産能力は 200 万トンで、 断面 160 x 160 mm の形鋼を毎分最大 2.4 メートルの速度で製造しています。処理される鋼種には、低、 中および高炭素鋼、ならびにチューブ鋼、ばね鋼、冷間圧造およびタイヤコード鋼などを含みます。

 

高い内部品質が要求される鋼種のビレットを確実に生産するためには、最終凝固点に関する正確な知識 とそれを実現するソフトリダクションが求められます。当社が開発した SRD セグメントを最終凝固点 制御に導入することで、鋼種、過熱、冷却速度または鋳造速度に応じて各ロールと鋳片との隙間を個別 かつ動的に調整することが可能となります。各ロールが独立して力を伝えるため、より高い圧下率が実 現され、鋳片中心部の偏析と微小空孔が低減します。また、最終凝固工程後にもビレットもしくはブル ームの圧下が可能となります。この処理はハードリダクションと呼ばれ、製品内部の微小空孔をさらに 低減します。

 

SRD セグメントは、ベアリングやロール表面の損傷を防ぐ過負荷保護機構が各ロールに搭載されるなど、 長期の運転サイクルや容易なメンテナンスが実現できる設計になっています。各ロールは機能ユニット に組み込まれており、メンテナンス工場内での迅速な直接交換が可能です。また、個々のロールユニッ トはセグメントへの装着前に単独で検査と調整が可能です。

 

当社が提供する技術パッケージには、DynaPhase、Dynacs 3D および DynaGap SoftReduction 3D と呼 ばれるソフトおよびハードリダクションの処理モデルが含まれています。オンライン熱力学相変換モデ ルである「ダイナフェーズ(DynaPhase)」は、熱エンタルピー、熱伝導率、密度および固相率などの 材料特性を計算します。二次冷却モデル「ダイナックス 3D (Dynacs 3D)」は、ストランド全長にわたっ て 3 次元温度分布をストランドのどの位置でも計算できるため、二次冷却セットポイントの最適な調整 とストランドの最終凝固点の決定が可能です。軽圧下システム「ダイナギヤップソフトソフトリダクシ ョン 3D(DynaGap SoftReduction 3D)」は、二次冷却モデル「ダイナックス 3D (Dynacs 3D)」の算出 した結果に従って各ロール間の隙間を最終凝固中に動的に調整し、鋳片の中心偏析を最小限に抑えて内 部ストランドの品質を向上します。

 

また当社は今回の工事において、基本設計および詳細設計と、ローラーブロック、スプレーヘッダー WSU ユニット等の納入に加え、(レベル 1)自動システム全体も担当しています。

 

中天鋼鉄は中国江蘇省の常州にある民営会社で、年産能力 1,000 万トンを超える銑鋼一貫製鉄所を操業 しており、鋼管、ベアリング、ばね鋼、各種構造用鋼をはじめとする幅広い鋼種の最終製品を製造して います。当社は、同社に向け 2011 年に大型丸棒・形鋼用のブルーム鋳造機を納入したほか、2016 年に は鋳造セクションを追加し、断面 280x320 mm の形状も鋳造可能になりました。

ハードリダクション用に SRD セグメントを装備した引抜ユニットの 3 次元図。

プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。当社は電機、オートメーション、デジタライゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は、三菱重工グループの100%出資によるグループ会社で、従業員数は全世界で約7,000人です。詳しくは、下記URLより当社公式ウェブサイトをご覧ください。 

公式ウェブサイト:https://www.primetals.com/jp