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ロンドン2025年7月 04日

ティッセンクルップ スチールのデュイスブルク拠点でスラブ連続鋳造機と熱間圧延機が稼働開始

  • ティッセンクルップスチールは高張力鋼を生産し、現在から将来にわたる市場ニーズに対応
  • 最先端のプロセス最適化システムを搭載した高度なスラブ連続鋳造機が高効率な鋳造を実現 ​
  • プライメタルズ テクノロジーズがスラブ連続鋳造機に関する包括的なサービス契約を受注
  • 高品質、生産性向上、安定した運転を可能にする高度な自動化ソリューションを搭載した最新の熱間圧延機

プライメタルズ テクノロジーズ(Primetals Technologies)は2025年7月4日、ティッセンクルップスチール(thyssenkrupp Steel)とともに、ドイツ、デュイスブルクのティッセンクルップ ブルクハウゼン工場において、プライメタルズ テクノロジーズが供給したスラブ連続鋳造機No. 4と熱間圧延機No. 4が無事に稼働開始したことを祝う式典を開催しました 。式典には経済・産業・気候保護・エネルギー大臣のMona Neubau氏をはじめ、両社の経営幹部や政治・産業界のリーダーが多数出席しました。

柔軟で将来の需要にも対応する生産態勢

この工場では従来、鋳造と圧延が一体化されたラインが稼働していましたが、 今回のプロジェクトで連続鋳造機と熱間圧延機の更新を行い、両工程を2つの独立したラインへと分割しました。 その結果、ティッセンクルップ スチールの年間生産能力は180万トンから310万トンへと拡大され、製品ポートフォリオは、将来の市場動向に対応し、高い利益率が見込まれるプレミアム製品に重点を置いたものとなりました。  

ティッセンクルップ スチールCEO Dennis Grimm氏は次のように述べています。「このプロジェクトは、技術面および品質面における当社のリーダーシップを強化するとともに、お客様の高まる期待に応えるうえで極めて重要な節目となるものです。

当社はヨーロッパの鉄鋼業界で最も先進的な生産体制のひとつを構築したこととなり、 スラブおよび熱間圧延製品の品質を飛躍的に向上させることが可能になりました。とくに、多相鋼や高張力鋼、電動モビリティおよびエネルギー転換に対応する鋼種など、将来のニーズを見据えた製品ポートフォリオのさらなる拡充が期待されます。」

このプロジェクトには、厳しいスケジュールの他、現場に最大1,000人の作業員が同時に配置されるなど、数々の課題がありました。 しかし、緊密な協力と強力なプロジェクト管理により、当社は期日通りの完工を達成しました。 方策の一例として、粗圧延機とスケール除去機は既設ラインの隣で事前組立を行い、通常の運転停止期間中に迅速に据付られました。  

プライメタルズ テクノロジーズ電機・オートメーション部門責任者Hans-Juergen Zeiher氏は次のように述べています。 「過去数ヵ月間、プライメタルズ テクノロジーズとティッセンクルップ スチールは、この重要な節目に至るために緊密に協力してきました。

​ 当社のチームは、現場だけでなく、計画とエンジニアリングの段階においても、厳しい時間的制約の中、この困難なプロジェクトを成功させるために最大限の努力を尽くしました。 このプロジェクトに関わった当社の従業員全員の並々ならない献身に心から感謝しています。 また、ティッセンクルップ スチールならびにパートナー企業の高度な専門知識と力強い支援にも深く感謝しています。 関係者全員の強固な協力体制なくしては、無事な稼働開始は実現できなかったことでしょう。」   

最先端のスラブ連続鋳造機

 

更新された2ストランド連続鋳造機No.4は、高度な機械的および自動化ソリューションを搭載しており、 幅900~1,800ミリメートル、厚さ257ミリメートルのスラブを鋳造します。 モールド幅調整システム「DynaWidth」がスラブ幅を迅速かつ柔軟に調整し、水圧オシレーター「DynaFlex」は、モールド振動パラメーターを調整してストランド表面品質を向上させます。 レベル2自動化システム「CCオプティマイザー」には、「Dynacs 3D」などのモジュールが組み込まれており、最適な二次冷却を行います。

連続鋳造機メンテナンス新規契約

ティッセンクルップスチールと当社は連続鋳造機No.4のECO-starローラー修理およびサービスに関する2年間のメンテナンス契約も締結しました。 この契約は生産の安定化、ローラーの寿命延長、信頼性の高い運転の確保を目的としています。 メンテナンス&アセットテクノロジー(Maintenance and Asset Technology: MAT)プラットフォーム上のコンピュータ化されたメンテナンス管理システムを活用して当社が提供する検査、改修、技術サポートを含む包括的なローラーメンテナンスにより、連続鋳造機の最適な運転状態と高品質なスラブの安定した生産が継続されます。

インテリジェント制御システムを搭載した最新の熱間圧延機

この熱間圧延機には、エッジャーおよび特許取得済みのEncopanelを備えたシングルスタンド4段リバース粗圧延機が含まれています。 さらに、最初の仕上げ圧延スタンド2基と鋼板冷却システムが更新され、レベル1およびレベル2の包括的な自動化システムも導入されました。

熱間圧延機更新により、ティッセンクルップ スチールの生産効率が向上し、製品ポートフォリオには高張力鋼やeモビリティ分野向け鋼種が加わりました。 この成果を可能にしているのは、搬送バー内の熱を保持するEncopanel、仕上げ圧延機における圧延力と曲げ力の増強、そして高精度なレベル1およびレベル2の自動化システムです。  

圧延機の性能向上は、プロファイルおよび平坦度オプティマイザーなどの高度な自動化ソリューションで管理されています。 これらのシステムは、製品寸法や鋼種といったプロセス要件が変更されても、鋼板圧延プロセスを精密に制御し、高品質、生産性、安定運転を可能にします。 拡張されたラミナー冷却セクションは、高精度なレベル2鋼板冷却モデルを装備し、冷却プロファイルと温度を高度に制御して、材料特性の一貫性を確保します。

大規模な近代化プロジェクト

本プロジェクトは、より広範な近代化計画の一部です。 2021年、 ティッセンクルップ スチールは、プライメタルズ テクノロジーズにリバースコールドミル、熱間圧延機、そして2基の厚スラブ連続鋳造機を発注しました。 冷間圧延機は2023年9月にボーフム工場でファーストコイルを生産し、スラブ連続鋳造機 No.3 の稼働が2026年に予定されています。

ティッセンクルップ スチールは、年間約1,100万トンの粗鋼を生産し、世界で約26,000人の従業員を擁しています。 同社は、2030年までに年間500万トンのCO₂ニュートラルスチールの生産を目指しており、2045年までに生産工程全体の気候中立達成を目標としています。
 

更新された熱間圧延設備がティッセンクルップ スチールの歩留まり向上と製品ポートフォリオ拡充を実現

更新されたティッセンクルップ スチールの連続鋳造機 No.4 は、高度な機械的および自動化ソリューションを装備

ドイツ,、デュイスブルクのティッセンクルップ スチール ブルクハウゼン工場にて、プライメタルズ テクノロジーズが供給したスラブ連続鋳造機 No.4 および熱間圧延機 No.4 の稼働開始を記念する式典を開催 左から Dr. Harald Espenhahn (Head of Technology, Environment & Maintenance, thyssenkrupp Steel), Dennis Grimm (CEO of thyssenkrupp Steel) Mona Neubaur (Minister of Economic Affairs and Climate Protection) Ise Henne (Chairwoman of the Supervisory Board, thyssenkrupp Steel) Sören Link (Lord Mayor of Duisburg)

写真著作権 thyssenkrupp Steel


プライメタルズテクノロジーズPrimetals Technologiesは本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。当社は電機、オートメーション、デジタライゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。当社は、三菱重工グループの100%出資によるグループ会社で、従業員数は全世界で約7,000人です。詳しくは、下記URLより当社公式ウェブサイトをご覧ください。 

公式ウェブサイト:https://www.primetals.com/jp